理事長挨拶

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服部 環(法政大学教授)

 

2023年10月6日に開催された日本テスト学会理事会で、南風原朝和先生の後任として第5代理事長に選任されました。今後3年間、本学会が皆様の独創性を発揮できる場であり続け、会員間の研究交流がますます盛んになるよう、はなはだ微力ではございますが、理事長として尽力いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

日本テスト学会は2003年5月23日に「テスト技術に関する研究者を育成し、科学的基礎と教育的理念に裏付けられた新しいテスト法の考え方と評価技術の研究開発・実用化、産官学を交えた共同のインフラ作りと社会的コンセンサスの構築、国内外の評価技術関連情報の収集・提供」を目的として設立されました。まだまだ若い学会ですが、テスト技術に関する研究者として大学教育・入試業務に携わる方も多く、新しいテスト法と評価技術の研究開発という点では、測定・テストモデルとそのベイズモデリング、特に学力の認知診断に関する測定モデルは海外に向けて発信されています。また、適応型テストの開発、e-テスティング(CBT:Computer Based Testing)に関する理論的研究と公的試験に向けたシステム作り、記述式テストのAIを用いた自動採点技術の開発などでも実績を上げられています。さらに、国内外の評価技術関連情報の収集・提供については、測定モデルやCBTに関して世界の研究を視野に入れた網羅的な概観が行われ、公的か民間かを問わず、研究成果はテスト開発・実施機関で生かされています。

文部科学省の全国学力・学習状況調査に目を向けますと、本年10月末に2025年度の調査から分冊方式によるCBT化を計画し、理科を先行実施するとの発表がありました。学力調査室の素案によりますと、CBT化される悉皆調査でも経年変化分析調査と同様にIRT(Item Response Theory)を活用して学力を分析するとのことですから、会員の皆様が蓄積された測定・評価技術がこれまで以上に必要とされます。

一方、自治体が実施する学力調査、学習指導要領の学力観に基づく学習評価、また、高等・生涯教育、心理臨床、特別支援教育、矯正教育、採用人事などではテストは必須です。これからも会員の皆様には、そうしたテストをアセスメントツールとして利用されている方々と共に、社会の要請に応えて頂きたいと思います。

理事長として学会が設立目的を少しでも達成できるように運営して参りますので、改めましてご指導とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。