理事長挨拶

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繁桝算男(日本テスト学会理事長)

 

日本テスト学会の初代の理事長は池田央先生です。池田先生からテストを中心とした学会の設立について初めてお聞きしたのは、私が東北大学に勤務していたころ、池田先生が仙台を訪問された折に、青葉城址の周りの道路をドライヴしているときだったことをよく覚えております。その後かなり長い時間を経過し、学会の話は立ち消えになったのかとも思っていました。その間紆余曲折もあったのかもしれませんが、次第に池田先生の熱意に賛同する人が増え、2003年に日本テスト学会が発足することになりました。テスト学会は、池田先生の強い思いによって誕生した学会であると言ってもよいと思います。池田先生の次の理事長は、柳井晴夫先生です。柳井先生は、多変量解析で目覚ましい業績を持つ方ですが、テストについて非常に強い関心を持ち、適性検査や大学入試についてたくさんの仕事をされています。自らの研究においても、テスト学会の発展のためにもやるべき多くのことを考えていらっしゃったはずですが、2013年に逝去さました。そのあとの3代目の理事長の職務を私が継ぐことになりました。もとより、責任の重い職務であることは承知しておりますが、池田先生と柳井先生が果たされてきた仕事や抱負を継承するのだと考えると一段と身が引き締まる思いがいたします。会員の皆様とともに、テスト学会の発展のために努力していきたいと思います。

テスト学会は、テストに関する理論的実証的研究や、社会に役立つ実践的研究のための学会です。テストに絞ったという意味で、日本でも珍しいタイプの学会ですが、テストに特化するとしても、テストに関わる事柄は多面的です。テストができるまでに、設計、開発、頒布のプロセスがあり、また、テストを使うにも、実施、採点、評価、結果の分析のプロセスがあります。また、テストが測定しようとする対象も、能力、学力、性格、態度、行動など多岐にわたります。これらの諸側面において、テスト学会が真に役に立つ知見を社会に提供することが、テスト学会の目標です。役に立つ知見の提供には、優れた実践的探究と、科学的、数理的、理論的研究がともに必要とされます。たとえば、教育や臨床におけるテスティングについて現場的な発想や実情を伝える記述的研究も必要だし、テストアセスメントの科学的裏付けを与える数理統計学的な理論研究も必要とされます。また両者のアプローチの相互作用も歓迎すべきです。たとえば、既存の情報科学や統計学の先端的発展をテストという実践の場に応用するという方向性と、テストの開発や適用の観点から生じる問題関心が数理的科学の理論的発展を促す場合もあるでしょう。

私は理事長としての任期中に、次の点で一段と前進しようと考えております。

1.テスト学会の国際化:日本におけるテストの研究者や実践者が、自分の研究や実践を世界に発信し、各国の研究者や実践者と協力し、グローバルな活躍をすることを促進する場として学会が機能します。

2.テスト学会の規模の拡大:現代社会が抱える問題の解決の助けになるためには、テスト学会が社会的影響力を持たなければなりません。そのための一つの有力な手段は、会員数を増やすことです。そのための努力を続けます。

3.テスト学会の広報活動の充実:テスト学会が、社会とのつながりを強めるために、学会誌、ホームページをさらに充実させることが必要です。

4.年次大会の充実:テスト学の創造的な発展は書斎からではなく、異質集団における交流から生まれることが多いと思います。毎年開催される大会が会員にとって魅力のあり、より多くの会員および非会員が集まる場になることは望ましいことです。

このような方針、および、より具体的に何をなすべきかについては、固定的に考えず、常に柔軟に会員の皆様のご意見を尊重しつつ、臨機応変に方向性を定めたいと思います。会員の皆様のご協力をお願いいたします。