本年9月、日本テスト学会第9回大会を、岡山大学で開催することになりました。 本学は敷地の広さでは国内で5本の指に入るときいております。 テスト学会の会員密度はまだ小さいですが、学会の発展に寄与できればという思いで、大会をお引き受けし、 既に多くの方々のご協力を得て学会開催に向けた準備を始めております。
本大会のテーマは「教育におけるテストの今とこれから」とさせていただきました.
テストというものは、時に、人にストレスを与えるものですが、一方で、人に大きな希望や夢を与えるものでもあります。
東日本の震災で被災し、家や家族を失った中学生が、
高校の合格発表で自分の受験番号を見つけ喜ぶ姿がニュースで取り上げられていました。
テストの得点というものは、なんら実体のないものですが、自分の努力や家族や周囲のサポートの結果を映し出すものです。
実体はないですが、子どもの苦労や努力、そしてまわりの人の愛情の結果を反映する、
大切なモノを産み出すことは、テスト研究者のかけがえのない使命だと思います.
テストデータは、入試などの選抜や行政的な方針の検討で利用されることが多く、テストを受けた子どもの顔はなかなか見えません。
ですが、学校で行われる小テストから大学入試にいたるまで、1回1回のテストで子どもが手にする評価は、
一人ひとりの子どもが抱く、将来の夢と希望に直結するものです。
その意味で、精度の高いテストを創り出すこと、そしてそのテストの結果を教育に活かしていくこと、
このような教育的視点はとても大切だと思います。
本大会は上記のテーマのもと、テスト技術の高度化、テスト結果の教育行政における活用の実際、 テスト結果の個別指導での利用法に関するシンポジウム等を企画しております。 また、もとより、テストと教育に関わりを持つ研究者や学校関係者、行政組織、民間企業など、 幅広い皆様の参加を得て、よりよいモノを産み出すための議論が岡山で繰り広げられることを楽しみにしております。
岡山は、大阪から新幹線で50分、東京からは飛行機で1時間(新幹線で3時間半)とアクセスも便利で、 中国四国の交通の要衝となっております。 また、岡山大学は新幹線のぞみ停車駅から最も近い国立大学法人でもあります。 また、本大会に引き続き、日本行動計量学会第39回大会が、 岡山大学の目と鼻の先にある岡山理科大学で9月11日~14日の日程で開催され、共同企画も予定しております。 この9月は岡山を拠点に、中国四国に足をのばされることも一興ではないでしょうか。
大会準備委員一同、みなさま方のご参加を心からお待ち申し上げております。
日本テスト学会第9回大会実行委員長
岡山大学大学院教育学研究科 寺澤孝文