本大会の開催にあたり、大会実行委員会を代表してご挨拶申し上げます。
日本テスト学会第14回大会を電気通信大学で開催することとなり、大変光栄であるとともに、その責任の重さを感じております。2018年に創立100周年を迎える電気通信大学は、科学技術イノベーションを先導し知識基盤社会を支える高度人材の育成・輩出を最重要使命とした先端技術を特徴とした大学で、eテスティングやeラーニングなど情報通信技術を用いた教育技術の研究も多く行ってきています。そのような意味でも、本大学で日本テスト学会大会を開催できますことを本当に誇らしく思っておりますし、これを機に本学でもテスティング分野への興味が高まってくれればと思います。
近年,大学入試改革や資格試験へのeテスティングの導入など興味あるテーマの多いテスト学会で、小さい学会ですがまさに時代を動かす役目にある学会であるといえましょう。
このような状況を鑑み、本大会のテーマは「eテスティングが切り拓く新しい評価」としております。eテスティングの特徴は、一回のテストの推定精度を高めるだけでなく、何度異なるテストを受けても同一尺度上で等質の精度高い評価が保証されることにあります。この性質を満たすテストを「等質テスト」と呼びますが、等質テストを自動構成する技術は、資格試験や入学試験のようなハイステークステストであっても、試験の複数回(随時)実施や同一受検者に対して高精度な判定を与えることができる革新的な技術といえます。
しかしながら、等質テストを構成するためにはテスト項目の様々な組み合わせを評価する必要があり、この組み合わせ数は、重複などを含めると指数的に増加し、まっとうには計算できない数に膨れ上がります。一方で、このような計算を実行する技術はビッグデータ分野において急速に発達してきており、eテスティングがコンピュータサイエンスの最先端技術を駆使する必要がある競争力のある技術であることがわかります。本大会では、eテスティングに関連する我が国の最先端の研究と実践を共有し、今後の課題を吟味することを狙いとします。また,eポートフォリオで受検者のテスト履歴を管理することも可能になってきており、このような新技術についても企画していきたいと考えています。
もちろん発表をeテスティングのみに限定することはなく、これまでと同様に、テストに関する理論・実践両面における様々な研究発表が行われます。
大会実行委員会の各メンバーが、皆様が不便なく参加できるように会場準備等を行ってきてくれました。本大会の開催のために,ご尽力くださいました多くの関係者の方々に心より感謝申し上げます。
皆様にとって有意義な大会になりますことを祈願し、挨拶とさせていただきます。
日本テスト学会第14回大会実行委員長
電気通信大学大学院情報システム学研究科
植野 真臣