シンポジウム(一般公開) 

※ 一般に公開(参加費無料)します.


◆ シンポジウム1 『心理テストの効用をめぐって −21世紀を展望する−』

 周知のように,心理テストには,「学力テスト」「知能テスト」「性格テスト」「興味テスト」「適性テスト」「生活習慣テスト」等がふくまれ,これらの代表的なテストに関しては,20世紀におけるこれらの発展の概要が本テスト学会第1回大会(2003年開催)の企画セッションでとりあげられた.しかし,1990年代に,米国において,知能テストの欠陥について鋭く指摘した数冊の書が出版される一方,わが国においても2005年に既存のいくつかの性格テストの問題点を指摘する書が出版された.米国において,ほぼ20世紀に実施された数千の研究をまとめたメタ分析において入社後の仕事の成績を予測する要因として,知能テスト(r=0.51),人格統合テスト(r=0.44),誠実性テスト(r=0.31)といった心理テストが,長期間にわたって比較的高い予測的妥当性を有していることが実証されている(デイアリ著・繁桝訳,2004).同じような心理テストの効用についてのメタ分析は,わが国においては2000年代になって漸く開始されたが,現在の時点においてはその数はきわめて少数である.このような背景に鑑み,心理テストの効用について,最近のテスト理論の発展を含めたこれからの心理テストの作成法,および利用法に関して,これまで心理テストの理論的,実践的研究活動を行ってこられた第一線の4人の講演者からの提言をふまえ,討論者およびフロアーの方々とともに21世紀における心理テストのありかたについて実のある討論を行いたい.

   オーガナイザ:柳井 晴夫(大学入試センター)
   講 演 者 :南風原朝和(東京大学)
           「テストの作成と利用の現状と課題」
          清水 和秋(関西大学)
           「因子分析によるテスト構成」
          豊田 秀樹(早稲田大学)
           「構造方程式モデリングによるテストの構成と分析 −人事試験における典型値測定の反応歪曲に抗するテストの作成−」
          二村英幸((株)リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所)
           「人事アセスメントにおける心理テストの妥当性 −測定からソリューションへのパラダイム転換−」
   指定討論者 :村上 隆(名古屋大学)

 

◆ シンポジウム2 『e-Learningの高度化とテスト理論 −両者をつなぐeテスティングを考える−』

 ネットワークを主たるシステム基盤として教育の提供を行うe-Learningは,民間企業では既に普及し,大学でも実用化の動きが急である.そこでは学習状況や学力の評価も当然,ネットワーク基盤を通して行われるのが自然である.一方で学力評価に関してはCBT(Computer Based Testing)の研究開発の流れが以前からあり,e-Learningにおける評価機構あるいはCBTのe-Learningとの統合によりeテスティングという語も利用され始めている.
 このシンポジウムでは,進展が急速なために多様な概念が錯綜するこの分野について,CBT研究者,eテスティング研究者,eラーニング実務者および専門家として指定討論者に登壇いただき,急速なe-Learning実用化の動きと伝統あるテスト理論をつなぐ概念としてのeテスティングについて,理念と展望をフロアも交えて討議する.

   オーガナイザ:永岡 慶三(早稲田大学)

   講 演 者 :菊地 賢一(東邦大学)
           「コンピュータ適応型テストの実用化について」
          赤倉 貴子(東京理科大学)
           「VOD型e-LearningとComputerized Testing」
          仲林 清 (NTTレゾナント)

           「オンラインテスティングの技術標準化」 
   指定討論者 :宮沢 修二(ラーニングアーキテクチャー研究所),池田 央 (テスト学会理事長)